発行日 2013年10月1日
Published Date 2013/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2014038105
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
68歳女性。健診にて左腎盂の拡張を指摘され、著者らの施設にある泌尿器科へ紹介となるも、腹部CTで傍腎胚嚢胞および両側腎嚢胞がとともに腸間膜腫瘤を指摘され、内科へ転科となった。腹部CTでは上行結腸内側、腸腰筋前方に29×32mmの不整な濃染像を呈する腫瘤が認められ、リンパ節転移や腸間膜腫瘍が疑われた。PET-CTでも終末回腸と腸腰筋前方の腫瘤にFDGの異常集積を認め、回腸悪性腫瘍とリンパ節転移が認められた。一方、下部消化管内視鏡では盲腸から約5cm口側の終末回腸に径10mm程度の潰瘍性病変が認められたが、生検では悪性所見はなかった。また、婦人科系の悪性腫瘍や乳癌の検査でも異常所見はなく、診断目的もかねて手術依頼で外科へ紹介となった。以後、全身麻酔下の腹腔鏡にて腸間膜腫瘍が確認され、D2郭清術を伴う結腸右半切除術を施行した結果、切除標本の病理組織学的所見により本症例は腸間膜脂肪織炎と診断、術後経過良好で第9病日目に退院となった。
©Nankodo Co., Ltd., 2013