画像診断
膀胱癌の梨状筋転移により下垂足を呈した1例
大西 慎太郎
1
,
安田 剛敏
,
鈴木 賀代
,
渡邉 健太
,
金森 昌彦
,
木村 友厚
1新潟県厚生農業協同組合連合会糸魚川総合病院 整形外科
キーワード:
抗腫瘍剤
,
坐骨神経
,
MRI
,
腫瘍侵入性
,
神経系腫瘍
,
生検
,
X線CT
,
膀胱腫瘍
,
放射線療法
,
筋肉腫瘍
,
尖足変形
,
Fluorodeoxyglucose F18
,
陽電子放射型断層撮影
,
マルチモーダルイメージング
,
梨状筋
Keyword:
Antineoplastic Agents
,
Biopsy
,
Urinary Bladder Neoplasms
,
Equinus Deformity
,
Magnetic Resonance Imaging
,
Nervous System Neoplasms
,
Neoplasm Invasiveness
,
Radiotherapy
,
Sciatic Nerve
,
Tomography, X-Ray Computed
,
Muscle Neoplasms
,
Fluorodeoxyglucose F18
,
Positron-Emission Tomography
,
Multimodal Imaging
pp.343-346
発行日 2016年4月1日
Published Date 2016/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2016279876
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75歳男性。71歳時に膀胱癌に対し膀胱全摘術と術後化学療法を施行され、その後は再発や転移はなく、泌尿器科で経過観察されていたが、1年5ヵ月前から誘因なく左臀部~大腿後外側、下腿外側部痛が出現し、整形外科へ紹介となった。腰部MRIではL4/L5椎間板ヘルニアを認め、それに伴うL5神経根症状と診断された。保存療法にて症状は軽快したが、3ヵ月後、左下肢痛の再燃と左下垂足を来し、左S1神経根障害が出現した。腰椎MRIを行なったところ、ヘルニアの増大はみられなかったが、左S1神経根障害の原因把握を目的で入院となった。所見では左梨状筋部に圧痛がみられたほか、臀筋の萎縮を伴い、徒手筋力テストでは左前脛骨筋・左腓腹筋は0/5で、知覚は左L5・S1神経根領域で2/10の知覚鈍麻があった。一方、PET-CTでは左L5・S1神経根と骨盤部にFDGが集積しており、骨盤造影MRIではL5~S2神経根は腫大し造影効果が認められた。また、左梨状筋内に造影効果を伴う腫瘤性病変も確認された。以上より、本症例は梨状筋周辺への転移病変を疑い、梨状筋部分の切除生検と隣接する坐骨神経に対し切開生検を施行した。その結果、免疫組織化学染色所見から膀胱癌の梨状筋転移巣からの坐骨神経浸潤による下垂足と診断され、放射線療法を行なうとともに化学療法による治療を継続した。目下、切開生検後2年6ヵ月経過現在、下垂足の改善はないが生存中である。
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