発行日 2013年5月1日
Published Date 2013/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2013255236
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症例は89歳女性で、誘因なく左大腿部痛が出現し更に嘔吐を認め、近医にて保存的加療を受けるも症状改善せず、当院紹介受診となった。血液検査で炎症反応が高値であり、腹部・骨盤部CTで小腸の拡張および左恥骨筋と外閉鎖筋の間にガスを含む類円形の腫瘤像が認められた。左閉鎖孔ヘルニア嵌頓と診断し緊急手術となった。下腹部正中切開で開腹したところ、Treitz靱帯より小腸が左の閉鎖孔に嵌頓しているのが認められたため嵌頓を整復しようとしたところ、脆弱な壊死組織部位に穿孔が生じたため小腸部分を切除し、腹膜を結節縫合しヘルニア嚢を閉鎖した。第12病日より発熱、左大腿部発赤、血液検査での炎症反応の再燃を認め、骨盤部CTで左閉鎖孔の周囲に造影効果を伴う低吸収域が認められた。術後大腿部膿瘍と診断して経皮ドレナージを施行したところ、穿刺時に排出された白色膿汁の細菌培養でEnterococcus faecalisが検出され、ヘルニア嚢の感染に伴う膿瘍と判断した。
©Nankodo Co., Ltd., 2013