発行日 2013年5月1日
Published Date 2013/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2013255234
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症例は70歳女性で、近医での大腸内視鏡検査で虫垂開口部に潰瘍を伴う腫瘤を指摘され当科紹介受診となった。血液検査で異常はなく腫瘍マーカーも正常範囲であったが、大腸内視鏡検査で盲腸内の虫垂開口部および回盲弁から口側約5cmの部位の回腸末端にも潰瘍性病変が認められた。注腸所見で盲腸壁の変形を認め、腹部CT所見で回盲部に嚢胞状の不整な腫瘤を認め虫垂粘液嚢腫の所見であり、冠状断像で瘻孔の疑いであった。また膀胱後壁に粘膜の不整・浮腫状変化を認め、腫瘍の膀胱への浸潤或いは炎症の波及の疑いであった。虫垂粘液嚢胞腺腫および膿瘍を介した周囲臓器への炎症性癒着、または虫垂粘液嚢胞腺癌その周囲臓器浸潤と診断し、初診から約2ヵ月後に手術となった。術中、回盲部の鶏卵大の腫瘤は膀胱、右卵巣、回腸と癒着しているのを認め、回盲部と共に膀胱、右卵巣を合併切除し腫瘤を摘出した。腫瘍は膀胱、右卵巣に浸潤し、病理組織学的に大部分が粘液癌からなり浸潤性に増殖しているのを認め、高悪性度の虫垂粘液嚢胞腺癌と診断した。術後補助化学療法としてmFOLFOX6を6コース実施したものの術後1年4ヵ月目に膀胱壁に局所再発を認め、再度膀胱部分切除+子宮摘出術を施行した。再手術後8ヵ月経過して再発はなく、現在厳重な経過観察検査を行っている。
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