発行日 2011年11月1日
Published Date 2011/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2012040614
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61歳女。5年前に骨盤内腫瘍を指摘されていた、今回、右下腹部痛を主訴に受診し、精査加療目的に当科紹介となった。CRPと血清CEA値の上昇、MRIで右卵巣付近に8×4×4cm大の嚢胞性腫瘤、造影CTでは右下腹部に境界明瞭で内部がlow densityな嚢胞性腫瘤を認めた。超音波で右下腹部に虫垂腫大、拡張と思われる境界明瞭な低エコー性腫瘤を認めた。虫垂粘液嚢胞腫を疑い手術を施行し、病変が周囲組織へ強固に癒着していたため開腹手術とした。腫大した虫垂が回腸、右卵巣と一塊となり、手拳大の腫瘤を形成しており、回盲部切除(D3郭清)、回腸右卵巣合併切除を施行した。虫垂壁は著明に肥厚し拡張した虫垂内腔にゼラチン様物質が充満していた。病理所見より、虫垂粘膜で細胞異型は認めず、上皮細胞の免疫染色はCEA陽性で、虫垂粘液嚢腫粘膜過形成と診断した。経過良好で術後1ヵ月に血清CEA値は低下した。
©Nankodo Co., Ltd., 2011