発行日 2013年10月1日
Published Date 2013/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2014038104
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60歳男性。腹部膨満感を主訴に近医を受診、下部消化管内視鏡にて虫垂開口部に粘膜下腫瘍(SMT)を指摘され、手術目的で著者らの外科へ紹介となった。所見では下部消化管内視鏡で虫垂開口部にSMT様隆起が認められ、同部位の生検では一部にカルチノイドと思われる成分が確認された。虫垂カルチノイドと診断されたが、胸腹部造影CTでは虫垂は径2cmほどに腫大しており、内腔に液体貯留と1cm大の糞石が認められた。だが、周囲臓器への浸潤、周囲リンパ節の明らかな腫大はなく、肝臓や肺、傍大動脈リンパ節への転移もみられなかった。以後、D3リンパ節郭清術を伴う結腸右半切除術を施行したところ、切除標本の病理組織学的所見では粘膜下層から筋層内にかけて包巣状ないし索状、小胞巣状増殖を呈する径25×17mm大の腫瘍が認められた。尚、周術期は術後早期回復プロトコルで積極的な治療を行い、患者は術後6日目に退院となり、現在外来通院中である。
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