発行日 2004年3月1日
Published Date 2004/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2004194113
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50歳男性.患者は下腹部痛および腹部膨満にて近医で腸閉塞を疑われ紹介受診となった.所見では,腹部は中等度膨満し,左下腹部に軽度圧痛を伴う手拳大腫瘤を触知した.X線では左側腹部に少量のガス像を認め,CTでは腸管壁外側にlow densityな異常陰影と,その内部にair densityが認められた.さらに注腸造影ではS状結腸に多数の憩室と一部に伸展不良な腸管が認められた.これらのことからS状結腸憩室穿通による結腸間膜膿瘍の診断で緊急手術を行ったところ,S状結腸の腸間膜は全体が著明に発赤腫脹し,Douglas窩に膿性腹水の貯留を認めた.そのため,腸間膜の腫瘤とともに腸切を含むHartmann手術を行い,腫瘤の内部には膿汁がみられ,憩室部では漿膜から粘膜下層にかけて瘻孔様の裂孔と,その周囲の急性炎症像を認めた.なお,細菌培養で結腸間膜内と腹水からはPseudomonas aeruginosa,Bacillus subtilisが検出された
©Nankodo Co., Ltd., 2004