発行日 2013年3月1日
Published Date 2013/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2013191402
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69歳女。車を運転中にシートベルトで胸腹部を強く圧挫し、受傷後14日より腹満感、受傷後32日より腹痛、嘔吐が出現した。単純X線で小腸の拡張と小ニボーを認め、保存的治療で軽快したが、その後、摂食を開始による腹満感の再出現を繰り返し、受傷後65日のX線で横行結腸脾彎曲部の拡張像を認め、大腸造影検査でS状結腸の狭窄を認めた。開腹術を施行したところ、S状結腸間膜の一部が肥厚瘢痕化し、そこに腸管が癒着して強く牽引され、軽いねじれを伴う腸管の狭窄を認めた。癒着の剥離で狭窄改善を認めないためS状結腸切除を行い、更に腹腔内を検索したところ、小腸間膜が硬く瘢痕・肥厚し、同部位小腸の狭窄を認めたことから小腸を部分切除した。以上より、腹部鈍的外傷後の遅発性腸狭窄と診断した。病理組織学的に切除したS状結腸は漿膜下層に軽度の炎症細胞浸潤を認め、小腸はUL-IIの潰瘍と粘膜下層から漿膜下層までの線維化を認めた。術後経過は良好で、再発は認めていない。
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