発行日 2012年9月1日
Published Date 2012/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2013031673
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81歳女性。右乳房腫瘤を自覚し近医を受診、右乳癌の疑いで著者らの施設へ紹介となった。初診時、右乳房A領域、1時方向に22×18mm大の腫瘤が触知され、表面は粗で辺縁は整であった。マンモグラフィではRUにスピクラを伴う高濃度腫瘤が認められ、カテゴリー5と判定、超音波では前方境界線の一部が断裂し、内部のエコーがやや不均一で、後方エコーでは18×14×9.5mm大の低エコー腫瘤が描出された。また、CTでは比較的境界明瞭な腫瘤として認識され、腫大リンパ節や肺・肝には異常所見はみられなかったが、MRIではT1強調像で低信号、T2強調像で不均一な高信号のスピクラを伴う腫瘤が認められ、造影曲線は悪性パターンを示した。以上、これらの所見を踏まえて、本症例は針生検にて浸潤性乳管癌(T1M0N0、Stage I)の乳癌と診断され、円状部分切除術およびセンチネルリンパ節生検が行われた。その結果、センチネルリンパ節への転移所見は認めず郭清は省略され、切除標本の病理組織学的所見は特徴的所見からGlycogen-rith clear cell carcinomaであった。尚、組織学的悪性度はグレード1、ly(0)、v(0)で、目下、術後4年6ヵ月経過で再発や転移は認められてない。
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