発行日 2012年9月1日
Published Date 2012/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2013031672
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過去13年間に尿膜管臍瘻に対して腹腔鏡下手術を施行した55例(男性50例、女性5例、年齢12~55歳、平均年齢26.2歳)における著者らの工夫について報告した。その結果、1)主訴は全例が臍からの排膿で、病悩期間は最長4年から最短1ヵ月であり、外来で切開排膿と経口抗生剤の投与を行い、炎症の消失後に手術を施行した。2)尿膜管臍瘻では病巣がトロカール挿入部位と同一平面上の腹壁に存在していることから術野の確保や手術操作が困難なため、できるだけ病巣から離れた前腋窩線上にトロカールを3本挿入した。3)斜視型の腹腔鏡を用いて操作部位の腹壁右側を手で適宜圧迫することで術野を正面視するように努めた。4)膀胱側の切離部位は瘻孔遺残を避けるためできるだけ膀胱近傍で切離すべきであり、切離端処置は初期にはチタン製クリップで膀胱側を閉鎖したが、最近は超音波凝固切開装置を用いて正中臍靱帯を単に切離している。尚、施行した45例では腹腔内への尿漏出などの合併は認められていない。5)尿膜管臍瘻切除に伴う腹膜欠損に対して全例で腹膜縫合は行われなかったが、術後平均5年3ヵ月現在、癒着性腸閉塞を来した症例はなく、手術時間は31~95分(平均46.9分)、出血量は30ml以下であった。
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