発行日 2012年9月1日
Published Date 2012/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2013031674
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50歳代女性。嚥下困難を主訴に近医を受診、上部消化管内視鏡にて食道癌(扁平上皮癌)と診断され、精査加療目的で著者らの施設へ紹介となった。精査により食道癌(Mt.T2N0M0、Stage II)と診断され、術前抗癌薬治療(FP 2コース)の施行でPRとなり、手術施行となった。手術ではD2郭清術を伴った腹臥位胸腔鏡下胸部食道亜全摘術+用手補助腹腔鏡下胃管作製ほか、あわせて亜全胃管を用いた後縦隔経路による再建が行われた。手術時間は9時間19分、出血量は100mlで術中に著変なく手術は終了した。だが、術後2日目に肝機能異常が出現したため、ダイナミックCTを行ったところ、肝臓S3を中心とした低吸収域が認められ、肝梗塞と判断、更に術前の造影CTの再検討により左胃動脈から肝左葉へ走行する枝を認め、術中所見と合わせて副左肝動脈切離による肝梗塞と診断された。以後、肝庇護薬使用によりほぼ2週間で軽快し、その他の合併症は認められなかった。
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