発行日 2009年8月1日
Published Date 2009/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2009328904
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70歳女。患者は検診にて指摘されたマンモグラフィ異常を主訴とした。マンモグラフィでは左M領域に高濃度の7×4mm、辺縁が微細分葉状の卵円形の腫瘤が認められ、石灰化は認めず、category 4と診断された。腋窩MRIでは転移を疑わせるリンパ節腫大は認めなかったものの、針生検では浮腫状で粘液腫様の間質内に大小の胞巣状構造を呈する小乳管構造の集簇が認められ、管状、櫛状構造を呈し、2層性を有する小乳管構造がみられた。また、櫛状構造を呈する管腔内には時にp63陽性の筋上皮細胞の被覆、pseudoglandの形成が確認された。以上より、本症例は腺様嚢胞癌(ACC)が疑われたが、患者の強い希望で乳房部分切除術が施行された。その結果、病理組織的に乳腺原発ACCで、以後は腫瘤が5×4mmと非常に小さく、更に患者の希望およびACCの生物学悪性度を考慮し、放射線照射を含め術後補助療法は施行せず、経過観察のみとした。
©Nankodo Co., Ltd., 2009