発行日 2012年4月1日
Published Date 2012/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2012220170
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52歳女。右乳房腫瘤を自覚し受診した。乳房超音波では、右乳房C領域に3.3×3.1cmで多角形、境界比較的明瞭、内部不均一な低エコー腫瘤影を認め、造影MRIでは右乳房外側領域の乳腺組織内に径約4cmの円形腫瘤性病変を認めた。針生検病理所見では、粘液線維腫様の間質の増生を伴う短紡錘形細胞の束状増殖を認め、核分裂像が散見され境界病変異常の病態が疑われた。検体辺縁に少量のやや過形成の乳腺導管の介在により、葉状腫瘍が疑われ腫瘤摘出術を施行した。腫瘤は乳腺組織内より発生した限局性腫瘤で、周囲浸潤はなく、術前診断時より腫瘤径は4.8×4.5cmで短期間に増大していた。病理組織所見では粘液腺腫様の間質増生を伴う短紡錘形ないし紡錘形細胞の束状と錯綜する増殖からなる病変で、異型な核はないが核分裂像は強拡大10視野に10個以上認めた。免疫染色では、腫瘍細胞はビメンチン陽性、CD10、HHF35は弱陽性で、最終的に成人型線維肉腫様の組織像を示す乳腺間質肉腫と診断した。術後は切除断端が陰性であったため補助療法は施行せず、術後約38ヵ月経過で無再発、生存中である。
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