発行日 2014年11月1日
Published Date 2014/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2015084585
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68歳女性。右腋窩リンパ節の腫大を自覚し近医を受診、摘出手術を受け、病理検査でinvasive micropapillary carcinoma(IMP)と診断され、乳癌原発を強く疑われたため加療目的で著者らの施設へ紹介となった。所見では視触診とマンモグラフィで右乳房に高濃度の索状形が錯綜する構築の乱れがあり、カテゴリー4と診断、超音波では右乳房に腫瘤像は指摘できなかったもののA領域に乳管の拡張を思わせる不整な低エコー像を広範に認め、カテゴリー2と診断された。また、乳房3D-CTやMRIでは右乳房A領域に乳頭から放射状に広がり、強い造影効果のある索状構造が認められたほか、右腋窩にはリンパ節腫大が認められた。一方、右乳輪周囲の皮膚発赤部の針生検を行なったところ、右乳房A領域に認められる低エコー域の針生検では異型細胞の集塊が組織から遊離した状態で出現しており、これは腋窩リンパ節腺癌と類似することから右乳房が原発巣と確定診断された。以上、これらの所見を踏まえ、治療は胸筋温存乳房切除術が施行された。その結果、腋窩リンパ節はレベルIIIまでの郭清によりレベルIには転移を疑うリンパ節の腫脹が数個認められた。更に切除標本の病理組織学的所見では癌は右乳房A領域を中心に乳管内を広範に広がり低乳頭癌像を呈し、一部でIMP像も呈していた。そこで術後に補助化学療法を施行することで、患者は術後4年経過現在、無再発生存中である。
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