発行日 2012年3月1日
Published Date 2012/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2012187916
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36歳男。臍部の腫瘤を主訴とした。腹部CTにて、腹腔内と連続しない、境界明瞭で内部均一の充実性腫瘤を認め、腫瘤切除術を行った。病理組織学的所見より、高分化型の腺癌で転移性腫瘍と判断し、消化管内視鏡検査、CT、MRI等で原発巣の検索を行ったが同定できなかった。切除標本の断端への癌細胞浸潤は陽性であった。開腹手術を行った結果、回盲部より約80cmの回腸に腫瘍性病変および腸間膜の播種性病変を認め、生検を行った。その結果、両病変は臍腫瘍と同様の高分化型腺癌であり、原発性小腸癌、臍転移、腹膜播種と診断した。経過は良好で、化学療法を開始し退院後も継続した。術後7ヵ月の時点では病状の悪化は認めなかった。なお、日本において、小腸癌を原発としてSister Mary Joseph結節を呈した症例の報告は、今までに4例のみである。
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