発行日 2012年3月1日
Published Date 2012/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2012187917
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65歳男。下血を主訴とした。直腸診でタール便を認め、下部消化管内視鏡にて終末回腸内に血液の流出を認めた。腹部CTと小腸造影にて小腸内に約5cmの茎を有する隆起性病変を認めた。以上の所見より、小腸腫瘍による消化管出血と診断した。腹腔鏡にて小腸末端より約80cmの部位に漿膜側に陥凹を伴う腫瘤を認めたため、腫瘤部を中心に約6cmの小腸部分切除術を行い、端々吻合をした。切除標本は、隆起性病変の先端部にびらんを形成し、腸間膜対側の漿膜側に病変に連続する陥凹を認めた。病理組織学的所見では回腸全層からなる真性憩室で、病変の漿膜下に脂肪組織からなる脂肪細胞を認めた。以上より、漿膜下の脂肪組織を先進部位としてMeckel憩室が内翻し、機械的刺激により先端部にびらんを形成したため下血を来したと判断した。なお、本症例では腹腔鏡による回腸内の観察やCTが有用であった。
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