症例
Sister Mary Joseph's Noduleを契機に卵巣癌を発見した1例
上原 顕仁
1
,
安田 正人
,
茂木 精一郎
,
青山 久美
,
石川 治
1群馬大学 大学院医学系研究科皮膚科学
キーワード:
腫瘍多剤併用療法
,
臍
,
卵巣腫瘍
,
嚢胞腺癌-漿液性
,
Sister Mary Joseph結節
,
PC Protocol
Keyword:
Antineoplastic Combined Chemotherapy Protocols
,
Ovarian Neoplasms
,
Umbilicus
,
Cystadenocarcinoma, Serous
,
Sister Mary Joseph's Nodule
,
PC Protocol
pp.591-594
発行日 2016年4月1日
Published Date 2016/4/1
DOI https://doi.org/10.18888/J01266.2016280963
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症例は71歳女性で、臍部の皮疹に気づき、おできとして加療されたが改善なく、外科の生検で腺癌と診断され、皮膚科より転移性皮膚腫瘍疑いで紹介受診した。臍部に胡桃大の広基性、暗紫紅色結節を認めた。表面は糜爛し、9時方向では一部壊死に陥り黒色調を呈していた。表皮は欠損し、真皮内に管腔様構造を形成する腫瘍細胞が増殖し、一部では乳頭状増殖を呈していた。腫瘍細胞は核異型が高度でスリット状の大小の管腔を形成し、増殖し、間質では単核球主体の炎症細胞浸潤がみられた。腺癌の皮膚転移と考え原発巣の検索を進めた。腫瘍マーカーはCA125、CA15-3が高値であった。腹部造影CTで臍部に35mm大の造影効果を伴う腫瘤性病変があり、腹壁と接しているが腹腔内への連続性は明らかでなく、右卵巣に腫瘤がみられ、腹膜には結節、肥厚、腸間膜の濃度上昇があることから腹膜播種と考えられた。造影MRIでも臍部腫瘤と右卵巣腫瘤の信号強度は同程度であった。以上の所見より右卵巣癌から生じたSister Mary Joseph(SMJ)結節と診断した。卵巣癌に対し、パクリタキセル、カルボプラチンによるTC療法を行い、14ヵ月を過ぎ、化学療法は12クールを終了した。原発腫瘍と臍部の結節は縮小傾向にあるが消失には至っていない。
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