発行日 2012年7月1日
Published Date 2012/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2012270912
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症例は71歳女性で、胃癌で幽門側胃切除術、脊椎カリエス、肺結核症、非定型抗酸菌症の既往があった。無痛性の臍腫瘤が増大傾向となり受診した。臍部に径3cmの暗赤色で弾性硬、可動性良好な腫瘤を認め、血液検査に異常所見はなかった。CTで臍部に3cm大の境界明瞭で辺縁平滑な腫瘤を認め、腹腔内との交通は認めず、生検では腺癌であった。胃癌術後12年目での臍転移再発と診断し切除術を行った。腫瘤の腹膜への浸潤は認めず、腹直筋までの切除縁が得られ、腹壁の全層切除は要しなかった。病理所見では乳頭状に腺癌の結節性増殖を認め、切除断端に癌細胞の浸潤は認めたかった。術後は本人・家族の希望で化学療法を行わず経過観察としたが、術後7ヵ月に腋窩リンパ節腫大を認め、生検では腺癌であった。術後16ヵ月に大動脈周囲・左鼠径部リンパ節転移の出現でS-1を開始し、腫瘍の縮小傾向を認めたが、その後、増大傾向となり術後6年余で死亡した。
©Nankodo Co., Ltd., 2012