外科救急-実際の手順を追う
食道・胃・腸 大腸穿孔
高和 正
1
,
赤須 孝之
1国立がん研究センター中央病院 大腸外科
キーワード:
ドレナージ
,
大腸疾患
,
人工肛門造設術
,
腸穿孔
,
腹腔鏡法
,
大腸切除
,
腹部CT
Keyword:
Drainage
,
Intestinal Perforation
,
Laparoscopy
pp.371-376
発行日 2012年4月1日
Published Date 2012/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2012181555
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大腸穿孔は汎発性腹膜炎からエンドトキシン血症、敗血症性ショック、播種性血管内凝固(DIC)、多臓器不全などへといたる救急疾患であり、病態の把握、確定診断、治療方針決定、手術まですみやかに行う必要がある。大腸穿孔後、汎発性腹膜炎の所見がある場合には緊急手術が必要である。原則として開腹手術を行う。手術は患者の病態に応じて、穿孔部切除、腹腔内洗浄、腹腔ドレナージ、人工肛門造設術を行う。術後には重症感染症、敗血症に対する集学的治療が必要になることが多い。内視鏡検査・処置に伴う穿孔の場合、穿孔後の経過時間が短く腹腔内汚染が軽度で、穿孔部位の同定が容易で気腹が可能であれば、腹腔鏡手術を行ってもよい。汎発性腹膜炎の所見がなく、穿孔直後にクリッピングによる穿孔部の閉鎖に成功したとき、または遅延型の穿孔の場合には、保存的治療が可能なことがある。保存的治療を行う場合には、汎発性腹膜炎への移行に常に注意し、汎発性腹膜炎の所見があらわれた場合にはただちに手術を行う。
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