発行日 2017年1月20日
Published Date 2017/1/20
DOI https://doi.org/10.19020/J01937.2017161427
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症例1:71歳男。腹部膨満感が出現し、下部消化管内視鏡検査でアミロイドーシスが疑われた。下行結腸からS状結腸にかけて、5~15mm程度の黄白色調で、円形~類円形、不整形の平坦隆起を散発性に認めた。生検所見を含めて大腸限局性ALアミロイドーシスと診断し、7年間経過観察を行った。その後の定期検査では、病変範囲が口側腸管へ徐々に拡がり、盲腸、上行結腸にも同様の小病変が出現した。S状結腸では、黄白色調で一部発赤を伴う病変も認めた。病変の表面には血管網が目立つが、NBI拡大観察では微小血管の口径不同は乏しく、腺管を取り囲む既存の血管走行を保持していた。本例のアミロイド沈着は粘膜下層が主体であり、粘膜固有層内の沈着は乏しいと判断した。症例2:74歳男。血便が出現し、下部消化管内視鏡検査で直腸に散発性の潰瘍を認め、生検でアミロイドーシスと診断された。1年後の検査ではS状結腸に粘膜下腫瘤様隆起が出現しており、大腸限局性アミロイドーシスとして整腸剤および緩下剤で約9年間経過観察された。今回、食用菊の摂取を契機に腸閉塞を来たし緊急入院となった。内視鏡検査を行い、アミロイドーシスによる腸管蠕動低下に加え、難消化性の食用菊摂取により腸閉塞を引き起こしたと考えられた。更に、2年半後には腸閉塞に伴うS状結腸穿孔を来たし、緊急手術(人工肛門造設術、ドレナージ術)を要した。
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