発行日 2010年3月1日
Published Date 2010/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2010155751
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66歳男。約2年前に肝S3、S8に腫瘍を指摘され、肝S3の腫瘍の増大を認めたため経皮的ラジオ波焼灼療法(RFA)目的で入院となった。腹部CTで肝S3に門脈相・動脈相で造影効果を示す腫瘍像を認め、腫瘍は十二指腸と接しており、周囲臓器の熱傷が危惧されたため、人工腹水下に経皮的RFAを施行した。術後3日目に腹痛が増強し、腹部単純X線像で遊離ガス像・腹水を認め、上部消化管内視鏡で十二指腸球部前壁に穿孔を認めた。腹膜炎の診断で手術を施行し、幽門部小彎から十二指腸前壁にかけて広範囲な穿孔を認めたため、穿孔部を全層で粗に単純閉鎖し、穿孔部位を上下に挟むようにドレーンを留置した。更に、Treitz靱帯から50cm肛側の空腸に空腸瘻を造設した。術後8病日に縫合部上縁のドレーンより胆汁性排液の流出を認め、縫合不全と診断し、全身状態が良好であったため保存的治療を選択した。術後17病日のCTでは縫合部近傍に限局した膿瘍腔を認め、術後22病日の上部消化管造影検査では膿瘍腔に造影剤貯留を認め、造影剤が膿瘍腔からドレーンに流出するのみで、十二指腸に流出しなかった。術後55病日の画像検査では膿瘍腔を認めず、通過性良好であり、術後64病日に独歩退院した。
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