発行日 2011年12月1日
Published Date 2011/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2012155110
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86歳女。突然に腹痛が出現し、消化管穿孔の診断で入院となった。腹部全体筋性防御を認め、炎症反応はなく総蛋白の軽度低値のみ認めた。腹部CTでは上腹部に遊離ガス像と肝周囲に腹水を認め、消化管穿孔による汎発性腹膜炎と診断し、緊急手術を施行した。腹腔内に便汁様腹水、横行結腸に約2横指の穿孔部を認め、穿孔部自体に腫瘍性変化は認めず、同部を用いて双孔式人工肛門を造設した。術後に全身性炎症反応症候群(SIRS)から敗血症ショック、血管内播種性凝固症候群を併発し、急性肺障害を発症したが、カテコラミン投与、エンドトキシン吸着療法、gabexate mesilate、新鮮凍結血漿、アンチトロビンIII製剤を投与し、人工呼吸管理下にsivelestatを投与した。穿孔原因検索の大腸内視鏡で人工肛門の下流側に全周性腫瘍を認めた。生検では、中分化型腺癌であった。以上から、腸閉塞による穿孔で発症した横行結腸癌と診断し、横行結腸切除を施行した。
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