発行日 2011年6月1日
Published Date 2011/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2011219017
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84歳男。左大腿部に拍動性腫瘤を自覚して受診し、超音波にて浅大腿動脈瘤を認めた。左大腿内側部に拍動性腫瘤を触知し、両側大腿、膝窩、足背動脈の拍動は触知良好であった。足首-上腕血圧比(ABI)は右1.12、左1.20でGluco、HbA1cは高値で、超音波所見で左浅大動脈に径65mmの拍動性腫瘤を認め、壁在血栓は認めなかった。CTでは腫瘤病変を認め、腫瘤内は血液と同程度のCT値を示し動脈瘤と考えられた。瘤は内側広筋や内転筋を圧排しながら不整形な嚢状形態で、他部位には認めなかった。以上より、孤立性浅大腿動脈瘤と診断した。破裂の危険性が高いと考え手術適応とし、鼠径および膝窩部で動脈を遮断後、周囲組織と強固に癒着した瘤を切除し、左大伏在静脈を用いて再建を行った。嚢状形態の瘤は、割面では内膜を認め真性動脈瘤と考えられた。病理所見では瘤壁は内膜、中膜、外膜の三層構造を保ち、内膜は一部欠損し、また一部で筋線維性組織の増生による肥厚を示し、中膜は硝子化や泡沫細胞の集簇、石灰化巣などの粥状硬化を伴う動脈壁の全周性脆弱化から生じた動脈硬化性真性動脈瘤と考えられた。術後の左浅大腿動脈および末梢の血流は良好で第16病日に退院した。
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