発行日 2011年2月1日
Published Date 2011/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2011126063
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78歳女。15年前より右坐骨神経痛を指摘されていた。今回、3日前に突然右下腿の疼痛と右足趾のチアノーゼが出現した。Multidetector-row CT(MDCT)で右内腸骨動脈より分岐し大坐骨孔から骨盤外へ走行する坐骨動脈を認め、この動脈は臀部で最大径45×38mmの壁在血栓を伴った動脈瘤を形成し、膝窩動脈へ連続していた。後脛骨動脈は開存していたが、前脛骨動脈は閉塞し、右浅大腿動脈は低形成で膝窩動脈との連続は認めなかった。遺残坐骨動脈瘤および前脛骨動脈塞栓症と診断し、プロスタグランジン点滴静注と抗凝固療法、を開始した。しかし、疼痛コントロールは得られず、硬膜外チューブを挿入した後に十分な鎮痛が得られ、チアノーゼも改善し、入院20日目に手術を施行した。まず、人工血管を用いて右大腿動脈-膝窩動脈バイパス術を施行し、次いで遺残坐骨動脈と坐骨神経の癒着を剥離して瘤の中枢側および末梢側を結紮した。動脈瘤は癒着が高度であったため、切除・縫縮は断念した。術後坐骨神経痛様の症状は消失し、MDCTで動脈瘤内に造影効果は認めず、足趾の小切断は回避され全治退院した。
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