発行日 2006年10月1日
Published Date 2006/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2007038503
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症例は54歳の男性で、右大腿部横紋筋肉腫に摘出後に放射線療法と化学療法を行い、その約4年後に右間欠跛行を自覚し、整形外科にて腰部脊柱管狭窄症が疑われた。その3ヵ月後に右腓腹筋痛、足先の冷感、皮膚温の低下を自覚した。右足背動脈と後頸骨動脈を触知しないため、血管障害を疑い、下肢CT検査にて右浅大腿動脈の完全閉塞が判明した。三次元CTにて、右浅大腿動脈は総大腿動脈から分枝し照射部位に一致して完全に閉塞していた。側副路を介して、膝窩動脈以下に閉塞なく造影された。右総大腿動脈と膝窩動脈バイパス術を人工血管を用いて行った。術後から抗血小板薬を投与し、術後4日目に肝酵素の上昇のためにaspirinのみの投与を行い、肝機能は改善した。術後の三次元CD所見では、人工血管に狭搾はなく、開存は良好であった。術後経過は良好で15病日に退院した。放射線治療の既往歴がある場合、晩期合併症である血行障害の発症に念頭に置いた長期の経過観察が必要である。
©Nankodo Co., Ltd., 2006