発行日 2011年6月1日
Published Date 2011/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2011219016
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50歳男。間欠的上腹部痛が出現した約1年後より症状が増悪したため紹介受診となり、造影CTで慢性膵炎と診断した。ERCPでは膵管癒合不全(非癒合)と診断し、またSantorini管と交通する嚢胞性病変を認めた。保存的に軽快したが膵炎の再燃と増悪を繰り返し、約2年後に膵癌を否定できず外科に紹介となった。ERCPは主乳頭からの造影で狭窄を認め、副乳頭からの造影は背側膵管頭部に3~4mmの高度狭窄と末梢の拡張、protein plaque様の欠損を多数認めた。膵液細胞診はPapanicolaou分類class IIIで、腹部血管造影では上前膵十二指腸の急激な径の変化・途絶があり、不整狭窄所見と門脈造影で圧排所見を認めた。以上より、膵癌も否定できず、膵炎の再燃、治療の長期化等により手術を施行した。手拳大に腫大した膵頭部は門脈剥離に難渋したが温存し、膵頭十二指腸切除、D2、PDIIを施行した。病理所見は膵管内に蛋白栓の形成、背側膵管狭窄部に上皮下間質に中等度の慢性炎症細胞浸潤、胆管の内腔狭窄、十二指腸乳頭近傍に異所性膵の形成およびBrunner腺過形成を認めた。以上より、慢性膵炎と診断し術後1ヵ月後に軽快退院した。
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