発行日 2011年3月1日
Published Date 2011/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2011177984
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75歳女。患者は27歳時に肺結核の既往があり、74歳時に鬱病に対する内服治療を開始した。2006年頃から時折腹痛があり、下腹痛が増悪し救急受診となった。イレウスと考えられ、CTを行なったところ、小腸内には石灰化を伴う2個の結石が認められ、腸管の拡張を伴っていた。また腸間膜には石灰化がみられた。対処として絶食を行い、腹痛は改善したものの、食事を再開すると再燃し、保存的治療では改善しないことから、腸石によるサブイレウスと診断され、手術が施行された。その結果、結石の停滞部の前後に3ヶ所の小腸狭窄と、その腸間膜に石灰化リンパ節が数個みられた。更に胸部X線で陳旧性結核が認められ、結核性腹膜炎の既往による小腸狭窄が腸石形成の原因であったと推測された。以後、病変部ならびに腸間膜リンパ節を含めて約30cmの小腸を切除して吻合し、腸間膜を閉鎖した。尚、病理組織学的所見では腸管拡張部で筋層表層部に及ぶ潰瘍が形成されており、漿膜下血管には肥厚・硝子化がみられ、機械的刺激による非特異的変化と考えられた。
©Nankodo Co., Ltd., 2011