発行日 2011年3月1日
Published Date 2011/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2011177985
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68歳男。患者は既往として41歳時にくも膜下出血後の水頭症に対して脳室腹腔シャント(VPS)が留置され、68歳時には慢性糸球体腎炎により慢性腎不全となった。今回、便潜血陽性に対する大腸内視鏡で盲腸癌が指摘され、注腸造影検査では盲腸底部に20mm大の隆起性病変が認められたが、虫垂は描出されなかった。以上より、本症例は肉眼型0-1sp、深達度SM massiveの盲腸癌と診断され、腹腔鏡手術を行うことで、開腹手術よりも腹腔感染のリスクが増えることはないと判断し、腹腔鏡下に前胸部でVPSチューブを切断し、腹腔側を抜去した。そして、内側アプローチにてsurgical trunk前面を郭清し、回結腸動静脈を切離、D3リンパ節郭清が行なわれた。その結果、出血量は10mlで、総手術時間は2時間55分であった。術後は40日目に行なわれた初回の頭部CTで水頭症のないことが確認され、VPS再造設の必要はないと判断された。尚、検索した限り、これまでにVPSを有する結腸癌症例に対する腹腔鏡下大腸切除術の報告はみられなかった。
©Nankodo Co., Ltd., 2011