発行日 2011年4月1日
Published Date 2011/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2011167772
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80歳男。50歳時に直腸腫瘍に対し腹会陰式直腸切断術を受け、左下腹部にS状結腸人工肛門を造設された。5年前頃より人工肛門部の傍ストーマヘルニアを指摘されるも放置し、今回、ヘルニア部の増大および疼痛を認めたため受診した。入院時、人工肛門より尾側の皮膚が暗赤色に変色し、著明に膨隆していた。腹部CTでは人工肛門より尾側の皮下に小腸嵌頓、鏡面像を伴う液体貯留像を認め、傍ストーマヘルニア嵌頓および嵌頓小腸穿孔の診断で開腹術を施行した。開腹し観察したところ、傍ストーマヘルニアを認め、小腸が嵌頓していた。小腸は腹腔内に還納でき、穿孔はなかった。この時点で左下腹部膨隆は解除されず、次いで人工肛門周囲の皮膚を切開剥離したところ、便臭を伴う膿瘍が流出し、人工肛門脚部に硬い腫瘤を触知した。腫瘤は腹壁内に穿通しており、人工肛門を含めたS状結腸および腹壁を合併切除し、人工肛門再造設を行った。腫瘍は40×40mm大、2型病変で、腹壁へ浸潤していた。病理診断は中分化型腺癌で、腹壁への浸潤発育、リンパ節転移を認めた。術後合併症なく第41病日に退院し、2ヵ月経過後も再発はない。
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