発行日 2011年4月1日
Published Date 2011/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2011167771
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
71歳女。S状結腸癌切除術、腹壁瘢痕ヘルニア修復術の既往があった。上腹部痛が持続するため受診し、X線で上腹部主体の小腸ガス像、立位でair-fluid levelを認め、CTで前腹壁直下に小腸の屈曲および口径変化を認めた。癒着性イレウスを疑い、絶飲食として補液および経鼻胃管チューブを挿入したところ、腹痛は軽減したが、小腸ガス像は不変であった。イレウス管を挿入し徐々に小腸ガスは減少したが、食事再開で腹痛・小腸ガスの再燃を認めたため手術適応と判断した。開腹すると、右上腹部を主体に小腸間の癒着を認め、これらを剥離したところ、右側横行結腸において長く腫大した一部の腹膜垂が小腸壁に癒着していた。これがバンドとなり、Treiz靱帯から100cm肛側の部位で約25cm長の空腸が絞扼されていた。浮腫状で中等度のうっ血がみられたが、腹膜垂を切離し絞扼を解除したところ、腸管の色調は回復し、蠕動もみられたため切除は行わなかった。術後経過良好で37日目に退院し、術後13ヵ月の現在も腸閉塞の再発は認めていない。
©Nankodo Co., Ltd., 2011