発行日 2011年4月1日
Published Date 2011/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2011167773
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51歳男。慢性B型肝炎を指摘され、約3年後にVp4の門脈内腫瘍栓を伴う肝S8/S4の直径約7cmの肝細胞癌(HCC)に対し、門脈腫瘍栓摘除を伴う右3区域切除術を施行した。以後再発はなかったが、3年後に門脈血栓の形成を契機に黄疸・難治性腹水を伴う非代償性肝硬変の症候を呈した。Warfarin内服により門脈血栓は縮小したが、黄疸は進行し、腹水も改善せず慢性肝不全へ移行したため、長男の右葉グラフトを用いた生体肝移植を施行した。前回手術操作と十二指腸間膜内の高度癒着のため、門脈本幹壁は非常に脆弱化していた。レシピエントの門脈本幹を膵上縁のレベルで切除した後、左内頸静脈グラフトを間置するかたちで門脈再建を行った。摘出肝の組織診断は肝硬変で、HCCの再発はなかった。術後は軽度の急性拒絶反応のためステロイドパルス療法を要したが、移植肝機能は良好に推移し、21日目に転院した。移植後49ヵ月経過してHCCの再発はない。
©Nankodo Co., Ltd., 2011