発行日 2009年1月1日
Published Date 2009/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2009099209
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
79歳男。患者は腹痛と嘔吐を主訴とした。所見では肛門縁から約25cmのS状結腸に2/3周性の周堤を伴う病変が認められ、また下部食道から胃穹隆部を圧排する8cm大の腫瘤がみられた。精査継続の予定であったが、S状結腸から造影剤の腹腔内漏出を認め、下部消化管穿孔と診断、手術が施行された。しかし術後、胸腔内腫瘤の精査を施行したところ、胃穹隆部でdelleが認められ、delleからの生検よりc-kit陽性、αSMA陰性、S-100陰性のgastrointestinal stromal tumor(GIST)が確認された。更にMRIでは肝内に腫瘤性病変を認め、多発性肝転移が疑われた。以後、初回手術から30病日目にGISTに対する手術を行った結果、術後は合併症なく経過し、外来でTS-1 100mg/body/日+CPT-11 80mg/bodyが行われた。転移性肝腫瘍はいったん画像上から消失してPRを維持していたが、食道胃接合部直下にGISTの再発を認められたため、更に加えてTS-1 +CPT-11にimatinib mesilate 400mg/body/日の同時投与を行い、GISTは著明な縮小効果を認めた。目下、術後14ヵ月経過で肝腫瘍、GISTはともにPRを維持している。
©Nankodo Co., Ltd., 2009