発行日 2011年4月1日
Published Date 2011/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2011167766
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
78歳男。2年前頃より嚥下時違和感を自覚し、約半年前頃より嚥下時痛、嚥下困難が出現・増悪した。上部消化管内視鏡で咽頭食道移行部左側に憩室を、CTでは咽頭食道部左側に内腔にガス像と液の貯留がみられる直径約1.5cm大の腫瘤を認めた。食道造影では咽頭食道部から左側に突出する直径約1.5cm大の憩室を認めた。以上より、Zenker憩室の診断で手術を施行した。左胸鎖乳突筋内側縁に沿ってJ字に皮膚切開を行い、広頸筋、胸骨舌骨筋を切離し、左内頸静脈および総頸動脈を外側に牽引して甲状腺左葉を正中側に圧排したところ、Killian三角部から圧出された憩室を認めた。輪状咽頭筋切開を行い、憩室頸部を十分に剥離して確保した後、自動縫合器を用いて憩室を切除した。切離部の外膜筋層に3-0 Vicrylで結紮縫合を加え、補強を行った。病理組織所見で憩室は筋層を欠き、内部では重層扁平上皮を認めた仮性憩室であった。悪性所見は認めなかった。術後は合併症なく経過し、12病日目に退院した。
©Nankodo Co., Ltd., 2011