発行日 2011年4月1日
Published Date 2011/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2011167764
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58歳女。3ヵ月前に右乳房腫瘤に気づき、増大したため受診した。超音波検査で右乳房に充実性、境界不明瞭、内部不均一、不整形、3.7×2.6×2.6cmの低エコー性腫瘤を認め、Category 5と診断した。マンモグラフィでは辺縁微細分葉、内部に高輝度陰影を伴う腫瘤像を認め、Category 4の診断であった。針生検による組織診断は充実性腺管癌で、乳頭分泌液の細胞診はClass Vであった。CT、骨シンチグラムで転移は認めず、T2N0M0、病期IIA乳癌と診断した。患者は乳房温存手術を希望し、そのため術前化学療法(Paclitaxel 80mg/m2)を3クール施行したが、腫瘍は縮小せずむしろ増大し、乳房温存不可能と判断して胸筋温存乳房切除術を施行した。切除標本の病理組織所見は著しい大小不同と多形性を示す紡錘形の異型細胞が索状、充実胞巣状に増生し、シート状に配列して角化傾向を示した。また、広範囲に出血、壊死、好中球浸潤を認め、強い好酸性を示す多核巨細胞もみられ、浸潤性乳管癌(化生癌、扁平上皮化生および紡錘細胞化生)と診断した。ly(-)、v(+)、Grade 3、HER2(1+)、ER(-)、PgR(-)、n(0/14)であった。術後に気管支肺炎を併発したが、術翌月に退院し、1年半経過して再発はない。
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