発行日 2008年5月1日
Published Date 2008/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2008196511
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61歳女。主訴は右乳房腫瘤であった。可動性良好で境界は明瞭な硬い腫瘤を隣接して2個触知し、腫瘍マーカーBCA225は軽度上昇していた。乳房MRIではA領域に径22mm大の腫瘤を認め、AC領域は腫瘍にほぼ置換されているだけでなく、BD領域の乳腺も早期相から造影効果を認めた。乳頭も早期から造影され、乳管内進展が乳頭に達していると考えられた。穿刺吸引細胞診ではアポクリン癌と診断され、右胸筋温存乳房切除術を施行した。病理組織学的に二つの主腫瘤はともに浸潤癌であり、他部位は広範な乳管内進展を呈する病変からなり、乳管内進展部位の組織像もアポクリン癌であった。免疫染色ではHER2の過剰発現を認めた。術後補助療法としてadriamycin・cyclophosphamide療法およびweekly paclitaxel療法を施行し、術後2年現在無再発生存中である。
©Nankodo Co., Ltd., 2008