発行日 2011年4月1日
Published Date 2011/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2011167765
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61歳女。右乳房腫瘤を主訴とした。マンモグラフィで右B領域に境界明瞭、平滑な高濃度腫瘤影を認め、Category 3の所見であった。超音波では8.9×6.2×10.3mmの内部不均一な腫瘤で、針生検所見では血管肉腫の可能性が考えられた。造影CTで腫瘤は濃染され、乳頭との距離は保たれており、乳管内進展、胸壁浸潤、腋窩リンパ節腫脹、多臓器転移は認めなかった。センチネルリンパ節生検および乳腺円状部分切除術を施行し、術中迅速病理診断で切除断端は陰性、センチネルリンパ節に転移は認めず、腋窩リンパ節郭清は省略した。摘出標本病理組織所見では毛細血管様血管が小葉構造をとって増殖する像を認め、細胞密度が高く、血管は複雑に吻合しあっていた。内皮細胞は濃染し、内腔に突出しており、CD31、CD34が陽性で、MIB-1 indexは約10%、ER、PgR、HER2は陰性であった。術後経過は良好で3日目に退院し、補助療法は施行せず、1年2ヵ月後も無再発生存中である。
©Nankodo Co., Ltd., 2011