発行日 2016年1月1日
Published Date 2016/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2016136594
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65歳女。3年前より血液透析中であった。今回、左乳房腫瘤の精査目的で当科を受診した。マンモグラフィ、超音波、穿刺吸引細胞診および全身検索の結果、Stage Iの乳癌と診断し、患側にシャントを有するため、術式や周術期の管理について検討した。本症例では対側へのシャント再造設は行わなかったが、開存シャントへの十分な配慮のもと適切な周術期管理を行うことで、胸筋温存乳房切除術、腋窩リンパ節郭清の施行が可能であった。病理組織学的にStage Iの浸潤性乳管癌で、術後補助療法としてtrastuzumabによる化学療法を開始した。経過中にシャントのトラブル、薬剤治療による副作用はみられず、週に3回の血液透析と3週間ごとの化学療法を継続している。
©Nankodo Co., Ltd., 2016