発行日 2011年1月1日
Published Date 2011/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2011111350
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60歳女。55歳時より関節リウマチの診断でprednisoloneなどを内服中であった。今回、上腹部痛が出現・増強し、嘔気・嘔吐を伴うようになり入院となった。検査所見で貧血、炎症反応の上昇を認め、腹部造影CTでは下腹部の小腸壁に限局性に造影不良部位を認めた。非閉塞性腸梗塞などを考慮しつつ経過観察することとしたが、翌朝に腹痛の増強や反跳痛、筋性防御が出現した。緊急開腹手術を施行したところ、Treitz靱帯より130cmの部位から約10cmにわたって腸壁が完全壊死して菲薄化し、更に30cm離れた肛門側にも3cmの幅の腸壊死を認めた。このため、壊死腸管を含む80cmの小腸を切除し、機能的端々吻合を行った。病理診断はリウマトイド血管炎に起因する小腸梗塞であった。術後25日目に退院したが、約1ヵ月後に腹膜刺激症状を伴う腹痛が出現し、腹部CTで腹腔内遊離ガスを認め、消化管穿孔の診断で緊急手術を施行した。前回手術時の吻合部に3mm大の穿孔を認め、吻合部切除、空腸と盲腸からなる2連銃式人工肛門を造設した。病理診断はリウマトイド血管炎に起因する小腸穿孔であった。術後ストーマ周囲のびらん、ケア困難のためストーマ閉鎖術を施行したが、経過は良好で、現在は腹部症状なく経過している。
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