発行日 2016年8月10日
Published Date 2016/8/10
DOI https://doi.org/10.19020/J01864.2017024707
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症例は50歳代女性で、腎硬化症の進行のため透析導入した。一度腹膜透析に移行したが、除水不良となり、血液透析を再導入した。血液透析中にじりじりと腹痛が増強し、ペンタゾシンの静注を行ったが改善しなかった。腹部骨盤部造影CTで小腸壁の肥厚、free airがみられ、小腸穿孔が疑われたため、緊急開腹術(小腸部分切除術、洗浄ドレナージ術)を施行した。腫脹した腸間膜を含め小腸を約30cm切除した。摘出した標本を開くとほぼ中央に12mm×14mmの長方形のPTPの粘膜への陥入がみられ、腸間膜側に向かい3mm大の穿通がみられた。摘出標本部は全体的に線維性組織により被嚢化され、内部で小腸が蛇腹状にたたまれていた。これは腹膜透析による硬化性腹膜炎を繰り返した結果と思われ、この部位にPTPが引っかかり、同部で腸間膜側へ穿通を起こしたと考えられた。術後10日目の腹部骨盤部造影CTで腹部正中よりやや左側の腸間膜内に、吻合部と思われる小腸付近まで広がる液体貯留がみられ、腹腔内膿瘍が疑われた。タゾバクタム/ピペラシリンの点滴静注を追加し、CRPの低下と解熱が得られたため、退院した。
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