発行日 2014年8月1日
Published Date 2014/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2014298172
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59歳男。腹痛を主訴とした。消化管穿孔の診断で紹介受診し、右下腹部から正中にかけて圧痛、筋性防御と反跳痛を認めたが、血液検査では炎症反応高値以外に特記すべき所見はなかった。腹部CTでは終末回腸の壁肥厚と、周囲の液体貯留、周囲脂肪織濃度上昇ならびに腸間膜の遊離ガスを認め、大腸憩室穿孔を疑い緊急手術を行ったところ、腹腔内に軽度混濁した腹水と回腸末端から約2cmの回腸に約1cmの穿孔を認めた。穿孔部を含む回盲部切除術を行い、病理組織学的所見では穿孔部に糞石を容れた憩室を認め、憩室壁の一部は全層性の出血壊死に陥り破綻、筋層は欠如しており、仮性憩室と判断した。術後に麻痺性のイレウスを認めたものの、保存的治療にて改善し、術後1年8ヵ月現在も再燃は認めていない。本症例は小腸憩室に糞石が嵌頓したことによる炎症から穿孔をきたしたと考えられた。
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