発行日 2011年1月1日
Published Date 2011/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2011111349
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33歳女。腹部膨満、嘔吐および腹痛を繰り返しており、腹部X線でイレウスを認め、小腸造影で空腸に腫瘍が原因と思われる全周性の狭窄を認めた。手術施行し、Treitz靱帯より約40cm肛門側に腫瘍を認め、腫瘍を含め空腸の部分切除を行い、術中迅速病理所見は小腸癌(高分化腺癌)であった。腫瘍血管を上腸間膜動脈分岐部で切除し、2群リンパ節の郭清を行った。切除標本は2.5×2cm大の約半周性の隆起性病変で、病理組織学的には高円柱状の細胞が乳頭構造を呈する高分化型乳頭状腺癌が主体であったが、浸潤先進部では管状構造をとる中分化型腺癌もみられた。術後補助化学療法としてlevofolinate calcium+5-FU療法を3サイクル施行し、以後は外来経過観察とした。術後5年目の腹部CTで両側卵巣に嚢胞性腫瘍(右5.3×4.1cm大、左6.9×5.1cm大)を認め、両側卵巣摘出術を施行し、迅速病理診断は腺癌であったが、卵巣由来か小腸癌の転移かは鑑別困難であった。術後病理組織所見で腫瘍は乳頭状に増殖する中分化腺癌が主体であったが、一部高分化な腫瘍もみられ、小腸癌の両側卵巣転移と診断した。現在、化学療法としてS-1の内服療法を行っている。
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