発行日 2011年1月1日
Published Date 2011/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2011111351
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73歳女。右側腹部痛が出現し、発症12時間後も改善なく、近医でイレウスが疑われ当院紹介となった。発熱や腹膜刺激症状はなく、検査所見ではWBCは若干高値であったが、CRP、CPKなどは正常範囲内であった。腹部単純X線では上行結腸に糞便貯留、左側優位の腸管ガス像を認め、腹部CTでは結腸内に便塊貯留像、下腹部に腹水を認めた。便秘症または癒着性イレウスを疑い、全身状態が安定していたため保存的治療として絶飲食、輸液および抗菌薬投与を開始したが、第5病日の単純X線で小腸ガス、鏡面像の出現、ガス増加を、腹部CTで小腸拡張、ガスおよび腹水の増加を認めた。イレウスチューブを留置し、引き続きS状結腸内視鏡検査を行ったところ、S状結腸で鏡体挿入困難となり、その後突然に腹腔内が観察され、内視鏡による穿孔と判断して緊急開腹術を施行した。回盲部周囲は癒着著明で、回盲部と大網をつなぐように索状物が存在し、回腸が絞扼されていた。また、S状結腸が回盲部周囲に癒着してV字屈曲しており、同部位の約3cm口側に穿孔部位を認めた。絞扼部解除、癒着解除、穿孔部位の一期的縫合閉鎖を行い、術後5日から経口摂取を開始し、経過良好にて退院となった。
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