発行日 2010年5月1日
Published Date 2010/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2010200988
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55歳男。慢性B型肝炎で診療中、腹部超音波で肝S5/S6に3cm大の多結節癒合型腫瘤を指摘された。造影CTでは肝右葉に早期濃染、wash outされる腫瘍を認め、胆嚢は肝円索直下に存在した。門脈は後区域枝が独立分岐し、右側門脈臍部を形成していた。血管造影で腫瘍の栄養動脈はA6、A5で、内側区域枝に相当する枝は前区域枝より分岐していた。右肝円索、肝内門脈走行異常を伴う肝細胞癌と診断し、肝動脈塞栓術後に開腹術を施行した。肝側面には正中裂のみで左側に臍静脈裂を認めず、通常の内側区域に相当する方形葉は認めなかった。術中超音波で右側門脈臍部、後区域枝の独立分岐を認め、胆道造影では胆道走行は動脈と同様であった。肝鎌状間膜の右側から切離を開始し、前・後区域枝から尾側に分岐するS5およびS6のGlisson鞘を順次結紮切離しながら肝切離を進め、S5/S6切除を施行した。病理診断は中分化型肝細胞癌、T2N0N0、sStage IIで、腫瘍はほぼ完全壊死に陥っていた。
©Nankodo Co., Ltd., 2010