発行日 2010年5月1日
Published Date 2010/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2010200990
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69歳男。血尿で受診した際、超音波で両側の腸骨動脈瘤を指摘された。腹部造影CTで左尿管の著明拡張と左水腎症を認め、腫瘤径は総腸骨動脈が右34mm、左24mm、内腸骨動脈は両側とも最大径70mmで、孤立性の瘤であった。DSAでは下腸間膜動脈は良好に造影された。開腹術を施行し、ヘパリン静注後に大動脈と両側外腸骨動脈を遮断した。人工血管はInterGard knitted 16×8mmを用い、外周をフェルトで補強し、中枢側を4-0 proleneで吻合した。次に、右内腸骨動脈瘤を切開して壁在血管を除去し、末梢流出血管の入口部を縫合閉鎖した。左側は内腸骨動脈再建の予定で瘤を切開したが、大量の壁在血管があり、また流出血管入口部は視野が深くなり吻合は不可能と判断した。中枢側吻合後しばらく両側腸骨動脈が遮断され、下腸間膜動脈由来の血流のみとしたが、S状結腸の虚血性変化は認めず、末梢流出動脈の入口部閉鎖のみ施行することとした。左右の外腸骨動脈と人工血管を吻合して手術終了とし、術後16日目に軽快退院し、半年後には尿潜血も陰性化した。
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