発行日 2008年7月1日
Published Date 2008/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2008258175
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症例は74歳女性で、血液検査で貧血を認めたため上部消化管内視鏡を施行、胃体中部に0-IIa tub 1の病変を認め、精査加療目的で入院となった。上部消化管造影では背臥位正面像で胃体中部小彎側に小隆起病変を認め、腹部CTでは上行結腸の壁肥厚を認め、明らかなリンパ節腫脹や肝転移は認めず、右腎の上極から下極に及ぶ100×80×60mm大の腫瘤を認め、腹部MRIでは右腎にT1・T2強調像で高~低輝度の混在した腫瘤を認めた。以上の所見から胃癌(U,0-IIa,T1・N0・H0・P0・CY0・M0 stage IA)、右腎血管筋脂肪腫(AML)及び上行結腸癌の疑いにて開腹術施行となった。術中所見では上行結腸に腫瘤性病変が触知され上行結腸癌と診断され、幽門側胃切除術・D1+α郭清術・D2郭清術・Billroth I法再建を施行、続いて結腸右半切除術・D2郭清術を施行、更に右腎摘除術を施行した。切除標本の病理組織学的所見から術後診断は、胃癌(U,0-IIa,T1・N0・H0・P0・CY0・M0 stage IA)、上行結腸癌(A,2型、40×40mm,SS,N0・H0・P0・M0・stage I)、右腎血管筋脂肪腫であった。術後合併症はなく、第12病日に退院となり現在、外来にて経過観察中である。医中誌の検索では胃癌・大腸癌の重複癌にAMLを合併した報告例はこれまで1例のみであり、本例は極めて稀な症例と考えられた。
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