発行日 2009年12月1日
Published Date 2009/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2010055259
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68歳男。下血を主訴とした。初診1ヵ月前よりタール便が出現したが放置していた。上部消化管内視鏡、血液検査、動脈血液ガス検査、腹部エコー、腹部造影CT各所見より、膵十二指腸動脈瘤を疑った。循環器動態は安定していたが、高度の貧血であったため輸血を行い、入院4日目に経カテーテル的動脈塞栓術(TAE)を行った。胃十二指腸動脈造影にて胃大網動脈に径3cm大の仮性動脈瘤を認めたため、右胃大網動脈にコイルを使用して塞栓術を行った。術後経過は良好で、術翌日より経口摂取を開始し、術後1ヵ月現在、健在である。なお、腹部内臓動脈瘤は稀で、日本における1984~2008年までの胃十二指腸動脈を含めた膵十二指腸動脈系に発生した動脈瘤の報告例は113例である。そのうち、右胃大網動脈の報告は本例を含めて3例のみで、十二指腸への穿破は10例であった。
©Nankodo Co., Ltd., 2009