発行日 2009年10月1日
Published Date 2009/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2010028526
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65歳男性。患者は検診の上部消化管内視鏡にて食道中部の隆起性病変を指摘され、精査加療目的で著者らの施設へ入院となった。所見では腫瘍マーカーは正常であったが、上部消化管内視鏡では上切歯列より29cmの部位で約4cmにわたり隆起性病変が認められ、その肛門側は約1/2周性の潰瘍性病変が確認された。また、胸部CTでは病変部に一致して食道壁の肥厚がみられた。生検の結果、本症例は低分化扁平上皮癌と診断され、右開胸開腹胸部食道亜全摘術、2領域リンパ節郭清、大彎側胃管による胸骨後再建術が施行された。病理組織学的に中部食道に発生した類基底細胞癌(Stage III)で、術後28日目よりFP療法を開始したが、嘔気や全身倦怠感が著明となり中止した。以後、手術から10ヵ月経過で頸部リンパ節転移、縦隔リンパ節転移、多発肝転移が認められたため、用量を減少したFP療法を再開した結果、一時的にリンパ節転移巣、肝転移巣の縮小がみられたが、病状は進行し、患者は術後1年8ヵ月で死亡となった。
©Nankodo Co., Ltd., 2009