発行日 2013年7月1日
Published Date 2013/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2013367598
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83歳男。嚥下障害を主訴とした。上部消化管内視鏡で胸部中部食道に0-IIc+0-Is病変を認め、生検標本で扁平上皮癌と診断された。CTでは上縦隔で右反回神経周囲リンパ節から右頸部食道傍リンパ節が連続して一塊となっており、リンパ節の一部を生検したところ、転移性の扁平上皮癌の診断であった。頸部に巨大なリンパ節転移を伴った胸部中部食道癌、cT2(MP)、cN2、cM0、cStage IIIと診断して化学放射線療法を行ったが、血液および腎毒性を生じたため化学療法は終了となった。約2ヵ月後、急激な右側腹部痛が出現し、造影CTで右傍結腸腔に遊離ガス像と膿瘍形成を認めた。消化管穿孔に伴った急性汎発性腹膜炎と診断して開腹手術を行い、Bauhin弁から40cmの回腸に穿孔所見を認め、小腸切除術を行った。また、Treitz靱帯から80cmの空腸にも狭窄部位を認め、小腸切除を追加した。再建は双方とも器械による機能的端々吻合で行った。病理診断は回腸、空腸ともに扁平上皮癌で、粘膜下層から漿膜部を主体に存在していた。術後29日に術後合併症(呼吸不全・腎不全)で死亡した。
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