発行日 2009年11月1日
Published Date 2009/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2010021262
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60歳男。心窩部痛を主訴に受診し、腫瘍マーカーCEA、CA19-9の上昇、胃内視鏡で口側は食道・胃境界部(ECJ)直上まで浸潤し噴門部から胃体中部小彎側に一部崩れた周堤を伴う腫瘍を認め、腹部CTで胃体上部に壁外伸展する腫瘤で胃小彎側にリンパ節の腫大を認めた。Borrmann分類type3の胃癌と判断し手術を施行した。大網およびDouglas窩の多数結節の術中迅速検査で腹膜播種と診断し、根治的手術は不可能なため胃全摘術、D1郭清、Roux-en-Y再建、胆嚢摘出術後にCDDPを腹腔内に散布した。腫瘍はBorrmann 2型、50×70mmで断端には約2cmのマージンがあり、病理所見では管状腺癌、中分化型、se、n1、M0、P1、CY1、PM(-)、DM(-)、ly 3、v1、stageIV、根治度Cであった。術後20日にS-1+CDDPの併用療法を行ったが全身に皮疹を生じ、CDDPを中止してS-1のみの減量内服を継続した。1年2ヵ月の単独内服後のCTで左副腎と脾門部リンパ節の腫大を認めてPTXに変更したが直後にほっ疹を認めたため、S-1+CPT-11に変更した。その8ヵ月後のCTで腹水貯留と左副腎の増大を認めFOLFIRIを13クール施行、更に左副腎の増大、腫瘍マーカーの上昇、両眼瞼の発赤を認めDOC/TXTを5クール施行したが全身衰弱と疼痛増悪のためターミナルケアに移行した。良好な疼痛コントロールを得たが術後3年に癌悪液質のため死亡した。
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