発行日 2012年1月1日
Published Date 2012/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2012157856
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60歳女。内臓逆位があった。胃部不快感を自覚し、腹部エコーで著明な腹水を呈し、腹水細胞診でclassV(腺癌)、上部消化管内視鏡で胃体下部小彎~体中部小彎に3型胃癌(低分化型腺癌)を認め入院となった。腹部は平坦、軟で圧痛なく、神経学的異常なく、腫瘍マーカーとCRP、LDHの高値を認めた。背臥位二重造影および内視鏡より胃体中部後壁に辺縁不正な隆起性病変を認め、内視鏡下生検で低分化腺癌を認め、CTで少量の胸水貯留および胃体部の全周性壁肥厚を認めた。胃癌癌性腹膜炎、病期StageIVの診断より手術適応なしと判断し、TS-1+cisplatin療法、weekly paclitaxel療法を行うが効果なく、胸水貯留と胸水・腹水排液による脱水から全身状態が悪化し、胃部不快感自覚より約4ヵ月後に死亡した。胸水からもclassV(腺癌)を認め、癌性胸膜炎と診断した。
©Nankodo Co., Ltd., 2012